格安SIM

楽天モバイルから「au回線はじめました」と発表!気になるサービス内容は?

2019年、格安SIM事業者(MVNO)から携帯電話会社(MNO)としてサービス提供を許可された楽天モバイルは、なぜかau回線を利用した格安SIMサービスを昨年10月1日から提供を開始しました。

この理由は後から考えることにして、まずは提供されたau回線のサービスをすでに提供されているドコモ回線を利用したサービスと比べて、プランや価格などの違いをチェックしてみましょう。

提供されるauプランはドコモとほぼ一緒?

新たに始めたau回線でのサービスは、多くの部分でドコモ回線と同じ内容となっています。

特に組み合わせプランとして提供されているサービスは、データ通信量も価格も全く同じに設定されています。それでも本当に何か違いがないのか調べてみると、かなり大きな違いや小さな違いを見つけることができました。

●ドコモ回線とau回線の違い①、スーパーホーダイプランの提供がない

一時期話題になった楽天モバイルから「スーパーホーダイ」という契約したくなるプランを提供しています。

スーパーホーダイの特徴は、データ通信量の違う4つのプランに10分以内の通話かけ放題がついて、2年間月額1,480円から提供されています。この魅力的なプランはau回線に対して提供されていません。

楽天モバイルからau回線を利用したサービスが始まったことを聞いた人の中には、スーパーホーダイが利用できると思った人も少ないでしょう。でもこのプランはドコモ回線のみの提供となっているため、期待した人にとってはちょっと残念に思ってしまうかもしれません。

おそらく楽天モバイルにau回線で利用できるスーパーホーダイの提供を望む声が大きくなれば、サービス提供されるようになるかもしれません。まだサービスがはじまったばかりなので、au回線にも提供されることに期待しましょう。

●ドコモ回線とau回線の違い②、事務手数料が違う

携帯電話会社でも格安SIMでも、契約する際には事務手数料がかかりますが、ドコモとau回線で金額が違っています。あまり大きな金額差ではありませんが、ドコモ回線の方が若干安くなっています。

多くの格安SIM事業者でも提供している回線サービスによって、事務手数料が違うのはみたことがありません。どうしてこのような状況になってしまったのでしょうか。微差ではありますが、その理由はちょっと気になる部分ですね。

●ドコモ回線とau回線の違い③、データ通信のみのプランがない

格安SIMサービスが魅力的に見える特徴として、データ通信のみやSMS+データ通信の音声通話以外のプランが用意されています。これ2台目としてスマートフォンを利用される人にとっては、音声通話プランは必要ありません。

ですが携帯電話会社で契約をした場合、音声通話プランの契約は必須となってしまいます。使わない音声通話プランをしなくてはならないので、その分月額料金が高くなってしまいます。そんな格安SIMサービスの特権を、なぜかau回線には提供していないのです。

楽天モバイルが提供しているデータ通信プランは、ドコモ回線のみau回線には音声通話とSMS+データ通信のみとなっています。データ通信のみとSMS+データ通信の差額は120円です。この金額をどう見るか、そこが許容できればSMS+データ通信プランをau回線で利用するのが良いかもしれません。

格安SIMサービスの醍醐味でもあるデータ通信だけのプランや、スーパーホーダイのサービスについても利用者や契約を考えている人からの声をたくさん挙げるようにしましょう。でもここまでしなくてもいいと思っているかもしれません。

サービスが開始されるまでドコモ回線で契約して、スーパーホーダイやデータ通信のみのプランが提供されたら、ドコモ回線からau回線に切り変えようと思っている方もいるかと思いますが、この回線の切り替えを楽天モバイルは提供していません。その理由を考えると、あることが浮かんできます。

その前に楽天モバイルが犯した失敗を考えてみましょう。

■楽天モバイルの失敗?

楽天モバイルはau回線でのサービスを提供し始めたにも関わらず、ドコモ回線とまったく同じサービスを提供していません。これはサービスを開始し始めたばかりなので仕方がないことなのかもしれませんが、どうしても中途半端なサービス感が否めません。これは楽天モバイルが犯した失敗といっても過言ではないでしょう。

楽天モバイルが犯した失敗は、次の2つが挙げられます。

●失敗①、データ通信の速度制限

以前、携帯電話会社では3日間のデータ通信量が3GBを超過すると、3GB未満になるまで通信速度に制限がかかるという内容でサービスを提供していました。今では契約するプランによって速度制限を受けないようになりましたが、WiMAXやワイモバイルが提供しているポケットWi-Fiなどデータ通信をメインとして提供しているサービスには、未だにこの制限を設けています。

楽天モバイルの場合、ドコモ回線については3日間で速度制限がかかるサービスの提供はしていません。契約しているデータ通信プランの最大容量を使い切ってしまった場合のみ、翌月になるまで速度制限がかかります。どうしてもデータ通信量をしたい場合は、データ量を追加購入することで、速度制限を一時的に解除できるようになっています。

でもau回線については、3日間で6GB以上のデータ通信を利用した場合に速度制限がかかることがあると説明されています。

格安SIMの場合は、使用したデータ通信量での速度制限を受けていない状況でも、データ通信の利用者が増える朝7~8時、12時~13時、18時~19時に時間帯は著しく遅くなります。そこに加えてデータ通信量によって、制限を受けてしまうようではストレスでしかないでしょう。

このようにドコモ回線とau回線でサービスの詳細が違う点は前章でも書いた通りです。

回線別に条件があるのは仕方がないことなのかもしれませんが、他の格安SIM事業者ではこれほど目立つ違いを見受けられません。これは楽天モバイルのサービスが失敗と言えるのではないでしょうか。

さらにもう一点、楽天モバイルの失敗といえるのが回線の切り替えサービスが提供されていないことです。

●失敗②、au→ドコモ、ドコモ→auへの回線切り替えが提供されていない。

これはまだサービスが始まったばかりなので、切り替えができるようにするための準備中ではないかと思われます。

LINEモバイルがソフトバンク回線でのサービス提供を開始した時も同じようなことがありました。

おそらく楽天モバイルも今後、利用者にニーズに応えて回線切り替えができるようになるでしょう。なお同一回線内でのプラン変更は可能です。早い時期に切り替えができるようになると、自分が利用したい回線を選択しやすくなるでしょう。

でも、この回線切り替えは今後もサービスとして提供されない恐れがあります。その理由は楽天モバイルが、携帯電話事業者(MNO)となりドコモと決別するからです。

■ドコモとの決別の理由

楽天モバイルは総務省からのMNOとしてサービス提供を認可された時点で、ドコモにとっては協力者だったのが同じ土俵に立つライバルとなったのです。そうなれば、ドコモはライバルのために回線提供をし続けるわけにはいきません。

楽天としてはMNOとしてサービス提供を始めたとしても、ドコモ回線を借用したサービスを提供し続けるつもりだったようですが、ドコモが難色を示したことにより急遽、方向転換を強いられたのかもしれません。

その矢先にau回線を利用したサービスを提供したことは、ドコモ回線を利用したサービスではなく、au回線を使った格安SIMサービスと共に、MNOとしてのサービス提供を始めていく現れなのかもしれません。

もともと楽天モバイルはMNOとしてのサービス提供に際して、設備への投資額が過少気味といわれていました。その理由は既存の携帯電話会社の回線を借用して、MNOとしてのサービスを提供するからと報じられています。これについてもドコモはあまりいい印象を受けていなかったようです。

そのためドコモとは反発した結果となってしまったのでしょう。ただauといっしょに大きくなっていく道を選んだのかもしれません。ただ一つ思ってしまう部分は、ワイモバイルのようにauに吸収されてしまうことも考えられます。

2019年は特に楽天モバイルがどのようなサービスを提供していくのか、その動向に注目していきましょう。