年々知名度を上げていく格安SIMサービスに乗り換えを考えている人が増えていることが、MMD研究所の調査結果からも報告されています。でも格安SIMサービスに乗り換えることを、不安に考えてしまう人も少なくありません。
そこで携帯電話会社と格安SIMサービスのどちらを選べば良いのか、その境界線を見つけてみたいと思いませんか。また使い方によって携帯電話会社と格安SIMサービスのどちらが良いか、一緒に探してみましょう。
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■格安SIMサービスの利用が向いている人
格安SIMサービスは、その特徴からどうしても月額料金だけが注目されてしまいますが、それ以外にも魅力的なサービスをたくさん提供しています。どのような人が格安SIMサービスの利用に適しているのでしょうか。
●データ通信量が少なめな人が適している
スマートフォンでゲームやストリーミングを利用するなど、大容量のデータ通信を利用する場合は格安SIMサービスを利用するのは適していません。一応、大容量のデータ通信プランも用意されていますが、提供されている月額料金を見ると携帯電話会社とあまり変わりがありません。
そこに3日間で数GBを利用すると、通信速度制限がかかるようではいくら20GBや30GBなどのプランを契約しても意味がありません。データ速度問題から考えても、あまりデータ通信を利用しない人向けといえます。
とはいえLINEやTwitter、FacebookなどのSNSを多く利用する人には向いていないのかというと、そういうわけではありません。
その理由には、格安SIM事業者が提供している「カウントフリー」というサービスがあるからです。
このサービスは特定のアプリを使ったデータ通信に際して、通信量を消費しないサービスとして提供されています。これなら少ないデータ通信プランを契約して、月額料金を押さえて利用することができます。このように特化した使い方をする人にとっては、ぜひ格安SIMサービスを使ってもらいたいと思います。
●電話をかけるより受けることが多い人
格安SIMサービスはデータ通信に特化したサービスのように見えるかもしれませんが、通話についてもサービスを提供しています。格安SIMサービスでの通話料は、携帯電話会社と同じ30秒/20円が基本となっていますが、通話割引サービスを利用すると30秒/10円で半額になるサービスが用意されています。
電話をあまりかけない人であれば良いのですが、1回の通話時間が10分以上で、電話をかける回数が多い人は、通話し放題プランを提供している携帯電話会社が良いでしょう。利用する方法によって、携帯電話会社と契約した方が良いか、格安SIM事業者を利用した方が良いか、よく考えてから契約するようにしましょう。
その理由は、格安SIM業者でも音声通話を契約すると携帯電話会社でいわれる「縛り期間」(最低利用期間)が設けられているからです。
だから音声通話を利用する場合は、自分が電話をよくかけるのかうけるのかを考えて選択するようにしましょう。IIJmioなどは通話オプションを提供していますが、10分の場合830円/月が提供されています。
この場合、ひと月で電話をかける回数が20回以上になる場合は、オプションを利用しても良いかもしれませんが、通話時間が10分を超える電話が多い場合は携帯電話会社との契約を考えるようにしましょう。
このように契約しようとしている格安SIM事業者が提供している通話オプション料を見て、選ぶのが良いかもしれませんね。
他にも格安SIMサービスの場合、自分が欲しいと思ったスマートフォンを購入して利用することができます。また携帯電話会社か購入したモデルでも格安SIMサービスを利用することができる場合があります。
このような人に格安SIMサービスがベストチョイスとなるでしょう。
■携帯電話会社での契約が向いている人
格安SIMの月額料金は非常に魅力的ですが、一部の人には携帯電話会社と契約した方が良い場合があります。いったいどういう人が携帯電話会社の方が向いているのでしょうか。
●データ通信を制限なく利用したい人
スマートフォンでインターネットをするときや、ストリーミングサービスを利用する時、時間帯やデータ通信量を気にせず利用したい人向けといえます。ストリーミングの場合、データ通信速度が重要になります。
でも混雑する時間帯は、インターネットでホームページを閲覧することができないくらい低速になることがあります。これをストレスに感じてしまう人にとっては、携帯電話会社が提供するサービスを利用するしかありません。ただしプランによっては、データ通信速度制限を受けてしまう場合があるので、契約するときは十分に注意事項に目を通すようにしましょう。
●通話し放題プランが必要な人
データ通信でも高速通信が楽しめて、通話し放題のプランを提供しているのは携帯電話会社だけです。
格安SIMサービスでは時間制限がある通話し放題のプランしか提供されていなかったり、通話し放題のプランがあっても、それなりのオプション料金がかかってしまい結局、携帯電話会社で契約するプランの料金と大差ない場合もあります。
格安SIMサービスの時と同様に、どの程度通話利用するのかよく考えてから契約するようにしましょう。あまり通話しない場合であれば、データ通信速度だけになりますがUQ mobileのように通信速度がある程度確保されている格安SIM事業者も存在します。
このような条件から選ぶようにしても良いのではないでしょうか。
●最新のスマートフォンで毎月の負担を押さえて購入したい人
携帯電話会社と契約する場合のメリットとして、最新のスマートフォンを金利がかからない分割を組んで購入することができます。クレジットカードで購入した場合、どうしても金利がかかってしまいます。
さらに携帯電話会社でしか取り扱っていないモデルも存在します。ドコモから発売されているHUAWEIのP20 Proが該当するモデルになります。SIMフリー版でも国内ではP20 Proは発売されていません。
P20 Proは搭載されているカメラが3台で、画素数が今までのスマートフォンにない4,000万画素とハイスペックなモデルとなっています。このモデルが今では、非常に安く発売されています。キャンペーン時期やMNPで乗り換えや、機種変更の場合に実質1円といった場合があります。このようにハイスペックでも、iPhone人気の陰に隠れてしまう名機が超低価格で購入できるのは、格安SIM事業者や、家電量販店で発売されているSIMフリースマートフォンではあり得ません。
時に特化販売されているハイスペックスマートフォンを手に入れられるのは、携帯電話会社だけなのです。
■どちらが良いかは決定できない
インターネットでも各メディアでも、縛りがある携帯電話会社が「悪い」存在で、格安SIM事業者が「良い」存在という取り扱いをしているケースがよく見られます。ある閣僚も「携帯電話会社は儲け過ぎている」などと発言し、監督省庁も携帯電話会社のあり方を考え直す機会を増やすようです。
確かに携帯電話会社の基本料金はここ数年で値上がりし、普通のプランでも8,000円ぐらいから提供されています。そこにスマートフォン代の分割が加わるため、1万円を超えてしまう料金がかかってしまうのです。
料金面では格安SIM事業者の方に軍配が上がります。でも格安SIMにはデータ通信速度が低速化する問題も抱えているし、最寄りに携帯電話会社が運営しているショップもありません。
スマートフォンが壊れてしまった場合、修理を出すにはメーカーに送るしかありません。その間、スマートフォンを利用することができません。でも携帯電話会社なら修理をすぐに受け付けてくれるし、修理の間は代替機の貸し出しなどのサービスを受けることができます。
契約した時も携帯電話会社なら初期設定を行ってくれます。受け取った時には電話もインターネットサービスもすぐに利用できる状態で渡されます。でも格安SIMサービスでは、初期設定を自分で行う必要があります。
電話も自分で通話できるか確認をしなくてはなりません。設定手順は公開されていますが、それでも利用できない状況になると、設定があっているか不安になってしまいます。その時の問い合わせ先も電話しか用意されていません。
このようなことをストレスに感じてしまう人もいるかもしれません。
携帯電話会社にも格安SIM事業者にも、一長一短があるわけです。この部分を理解していない人は「携帯電話会社が高い」と発言してしまうのでしょう。そのような声に惑わされないようにして、自分にあった方を選ぶようにしましょう。もしインターネットに掲載されている口コミ情報に目を通すときは、色眼鏡を外して閲覧するようにしましょう。そうしないと正しい判断ができません。
これから格安SIMへの乗り換えを考えている人は、まず自分の携帯電話の使い方をしっかり把握しましょう。通話時間はどのくらいなのか、インターネットの利用はホームページの閲覧が多いのか、動画サイトの閲覧が多いのかなどです。そこからはじめて格安SIMサービスを選ぶか、携帯電話会社のプランを見直しして利用を続けるか、改めて考えてみてはいかがでしょうか。